『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』/松尾豊
「人工知能」という用語は一般に広く用いられているけれど、現時点では、人間の知能の原理を解明し、それを工学的に実現する、というような意味での人工知能は、まだどこにも存在していない。昨今の製品やサービスでよく言われている「人工知能」というのは、あくまでも人間の知的活動のある一面を真似したという技術に過ぎないのだ。 とはいえ、2010年代以降のディープラーニングの研究や、シンギュラリティが間近であるという言説、人工知能に仕事が取られるだの取られないだのといった風評など、ここ数年はこの分野の話題には事欠かない状況が続いている。本書は、そんな人工知能研究の歴史と今後の展望とを簡潔にまとめたもの。2015年の本なのでもうちょっと古いけれど、前提知識ゼロでも読み進められるので、入門書としてちょうどよい一冊だ。